近年、日本では食生活の多様化に伴って、肥満、生活習慣病やアレルギー疾患の増加が顕著になってきました。これらの疾患の予防のためには、適切な食生活を送ることや日々の運動が重要です。日本には本来古くから「医食同源」の考え方がありますが、生活習慣病が問題視されるにつれ、食品の体調調節機能の重要性が見直されてきています。
そんな中、人々の健康への関心が高まり、市場には健康食品があふれ、今や、日本は健康ブームにあると言っても過言ではないでしょう。しかしながら、どの製品が本当に効果のあるものなのか、信頼できる情報を求めて消費者は混乱しているのではないでしょうか?市場に出回っている健康食品は, 必ずしも効果が立証されているものばかりではありません。では、何を指標にしたら良いのでしょうか?
厚生労働省は平成3年に「特定保健用食品」という制度を制定しました。「トクホ」は、からだの生理学的機能などに影響を与える成分を含んでおり、血圧、血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、お腹の調子を整えるのに役立つなどの、特定の保健の用途のために利用されることを趣旨とした食品のことです。
厚生労働省が、個別に有効性や安全性等に関する審査を行い、承認された食品だけがトクホとしてマークをつけて販売することができます。このマークがあれば、健康に役立つというお墨付きがあるということになり、消費者が機能性食品を安心して購入する目安になります。
このトクホの表示許可を受けるためには、有効性があることを示す科学的根拠、つまり臨床試験を含めたさまざまなデータが必要となります。実際にヒトに食べてもらって、効果が立証されなければいけません。ですので、お薬と同じで、健康に役立つ食品が世に出るためには、臨床試験に参加してくださるボランティアの皆様のご協力が必要です。
特定保健用食品とは異なる新しい食品の表示制度として、平成27年4月に機能性表示制度ができました。機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性が商品に表示できます。この「科学的根拠」は、ヒト試験(食品臨床研究)やシステマティックレビュー(過去の論文で立証すること)で示さなければいけません。よって、機能性表示食品制度にも食品臨床研究が必要となります。
※事業者は、安全性や機能性の根拠に関する情報を消費者庁に届け出ますが、特定保健用食品とは異なり、国は安全性と機能性の審査は行いません。